グループホーム 「あすなろ」



四季折々の花、野菜の収穫を楽しみながら
家庭的な環境で暮せる高齢者用介護施設


シンボルツリーの柿の木や竹林、
花畑、100坪以上ある野菜畑は
敷地にもともとあったもの。
外観(ファサード)にも竹のイメージを
用いました。


安心してゆったりと生活できるよう、
家庭的な空間づくりを目指しました。
建物は全館バリアフリー。
個室は設置基準よりも広く面積をとり、
庭やバルコニーに面して配置しました。
      <写真上2枚>
      広く開放感のあるリビング・ダイニングルーム。
      大きな窓から自然の光や風が入り、
      温かみのある空間を作り出している。
      床には濃淡を付けて避難経路を示している。


      <写真右>
      廊下の幅も約2メートルと、ゆったり。
2004年11月開設

構   造   鉄骨造
建   物   地上2階建
敷地面積  960.49u
延床面積  702.12u
「あすなろ」の誕生によせて

鶴見川流域・新吉田町(港北区)の住宅街、その中心に位置する広い畑。
この建設地にて、長瀬實様とご家族に初めてお会いしたのは、野菜畑のイチゴが赤い実を下げて春を告げ、
道路沿いの竹林ではタケノコがまもなく頭を出さんとしていた、平成13年3月16日のことでした。

「私たちは、この地に、高齢者が生活するグループホームをつくる。
“野菜づくりと食”を共同生活のテーマとする。
畑の真ん中の柿の木は、毎年多くの実を結ぶ、どうしても残したい」
と長瀬様は言われました。
街の中に、自然の恩恵を受けられるこのような土地があり、そこにグループホームが建てられる。
施主が求めるものに私は感激し、素晴らしい施設ができる、と思いました。

長瀬様は、港北区社会福祉協議会の会長職にありましたが、非常に残念なことに、5月になり急逝されました。
その枕元には計画図面が置かれていたとのことです。
そしてこの大事業は、残されたご家族の手によって進められました。

建物のファサードは、竹の伸びやかさとどこか昔日を思い出す外観をデザインしました。
内部は、要介護度の高い方や車イス利用の方でも生活できるように、ユニバーサルデザインにも広さ・明るさを求め、
自立生活、介護生活とも可能な配慮をし、南に広がる庭、花畑、野菜畑と語り、季節の移ろいを感じながら…
そんな生活空間づくりを目指しました。

オープンの前日に訪問した際、窓辺に蝶が飛び交いました。
まさにそんな理想郷づくりでした。
振舞われた庭の柿の実をいただきながら、昨春のこの仕事との出会いを思い出していました。

「あすなろ」の成長を心よりお祈り申し上げます。


平成17年1月   臼井洋司